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筋肉痛はどうして起こる?筋肉痛のメカニズムと栄養学的アプローチ

筋トレを行った翌日に、筋肉痛で身体がなかなか動かないということがあるかもしれません。

筋肉痛で身体が動かないと、適切なフォームで練習ができなかったり、怪我の原因になったりします。

しかし強度を確保しないと筋肉が大きくならないので、筋トレの強度を確保しながらも、しっかり身体を休ませて、筋肉痛を抑えながら翌日のトレーニングに集中できるようにコンディションを整える必要があります。

筋肉痛を和らげる方法としては、マッサージやフォームローラーなども挙げられますが、栄養面からもアプローチすることができます。

この記事では、筋肉痛が起こるメカニズムや、筋肉痛に効果的な栄養素について解説していきます。

筋肉痛が起こるメカニズム

まずは筋肉痛が起こるメカニズムについて解説します。

筋肉痛は、エキセントリック収縮という筋肉の収縮様式により引き起こされます。

エキセントリック収縮とは、スクワットでしゃがむ時や、ジャンプの着地の時の大腿四頭筋のように、筋肉が引き延ばされながら力を発揮する収縮様式です。

このような収縮様式により筋肉に大きなダメージが加わり、筋肉痛が引き起こされます。

もう少し詳しくみてみましょう。メカニズムを詳しく示したのが下図です(Jooyoung K and Joohyung L, 2014)。

筋肉痛は、まずエキセントリック収縮といって、筋肉が引き延ばされながら力を発揮する収縮様式が起こることで生じます。

エキセントリック収縮が起こると、筋肉が損傷します。すると、その部位に好中球や白血球などが集まってきて、炎症反応が起こります。

好中球や白血球は、ロイコトリエンやブラジキニン、プロスタグランジンなどの物質を放出させます。

ロイコトリエンは血管の透過性を上昇させ、それにより筋肉へ液体が流れ込み腫れてきます。筋トレが終わると筋肉が大きく見えると思いますが、これは筋トレ後にこうした反応が起こっているからです。

筋肉が腫れることで、TypeⅢ, Ⅳ求心性線維という、脳に痛みを伝播する神経線維の感受性が上昇したり、筋肉内の圧力が上昇することで、筋肉痛を感じます。

また、ブラジキニンやプロスタグランジンは、TypeⅢ, Ⅳ求心性線維という、脳に痛みを伝播する神経線維を活性化させ、筋肉痛を引き起こします。

さらに、好中球や白血球が集まり神経成長因子が分泌されることで筋肉痛が起こるというメカニズムもあります。

筋肉痛を抑える栄養素は?

難しい話が多くなりましたが、筋肉痛はここまで説明したようなメカニズムで起こっています。

それでは、筋肉痛を抑えるために、どのような栄養素が有効なのでしょうか。

筋肉痛を抑えるのに効果が確認されている栄養素は次のようなものが挙げられます。

1, ω3系脂肪酸 2, BCAA 3, カフェイン

ω3系脂肪酸

ω3系脂肪酸は、魚に多く含まれている脂肪酸です。

油にはかなり多くの種類があり、ω3系脂肪酸はたくさんある脂肪の中の1種です。

ω3系脂肪酸は炎症を抑える働きがあると言われている脂肪酸です。ω3系脂肪酸と似た構造の脂肪酸に、ω6系脂肪酸というものがあります。

構造が似ていることから、ω3系脂肪酸とω6系脂肪酸は同じ酵素を使い代謝が進んでいきます。

ω6系脂肪酸が代謝されていくと、最終的にロイコトリエンやプロスタグランジンなど、筋肉痛の原因となっている物質に変換されます。

そのため、ω3系脂肪酸が少なく、ω6系脂肪酸が多い状態だと筋肉痛を助長します。逆にω3系脂肪酸を多く摂取することで、炎症を誘発する物質を作る代謝経路を弱めることができるので、筋肉痛に効果的です。

実際にω3系脂肪酸を長期間摂取することで、筋肉痛が抑えられたというエビデンスも多く出ています。

ω3系脂肪酸を30日間摂取し、筋トレ実施前、筋トレ実施直後、1,2,3日後に垂直跳びを行わせたところ、ω3系脂肪酸を6, 8g摂取していた群では、摂取しなかった群と比較して、高く跳べていることが報告されています(Lauren et al., 2021)。

BCAA

BCAAは分岐鎖アミノ酸の略称で、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つのアミノ酸の総称です。

BCAAは筋肉痛に効果があることが多く報告されています。BCAAを摂取するグループ、水を摂取するグループに分け、筋力トレーニングを実施し、3日後に筋肉の痛みを聞き取ったところ、BCAAを摂取する群で筋肉の痛みが軽減したことが報告されています(Jackman et al., 2010)

ただし、筋肉痛を抑えるメカニズムについては明らかになっていません。

BCAAを摂取することにより、運動後の血中ミオグロビン濃度の上昇が抑制されることが報告されています。そのため、BCAA摂取により筋損傷が抑制され、筋肉痛が抑えられるというメカニズムが可能性として考えられています(下村 吉治, 2007)。

カフェイン

カフェインは、コーヒーに含まれていることで有名な栄養素ですが、カフェインも筋肉痛に効果的なことが報告されています。

カフェインは筋肉にあるアデノシンA1受容体に作用し、鎮静作用を発揮することが報告されています。

またカフェインは、脳にあるアデノシンA2a受容体に結合し、アデノシンA2a受容体の働きをブロックすることで、中枢神経系の働きを抑制し、筋肉痛を抑えることがわかっています(Janisa,. 2021)。

カフェインは慢性的に摂取しているとその効果が小さくなってしまうので、日常的に摂取するよりは、ここぞという時に摂取することで最大限の効果を発揮してくれます。

筋肉痛を抑えてトレーニング効果を最大限に得よう

筋肉痛を抑えることで、安定したフォームで練習することができたり、高強度でのトレーニングに耐えることができるようになるので、トレーニングの効果も大きく得ることができます。

筋肉痛を抑える栄養素を摂取して、トレーニング効果を最大限に得ましょう!

トレーニングで最大限の力を発揮するためには食事から十分な栄養を摂取することも求められます。

現在無料で栄養カウンセリングも実施しているので、ご興味のある方はこちらのLINEから「カウンセリング希望」とご連絡ください。

参考文献

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